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『デリカテッセン』(91)や『アメリ』(01)など、独得の世界観で日本にも多くのファンを持つジャン=ピエール・ジュネ。その最新作『天才スピヴェット』の公開がいよいよ目前に迫ってきた。
家族の絆をテーマに、初の“親子もの”に挑んだジュネ。展開はあくまで正攻法だが、今作もだまし絵や妄想など奇抜な仕掛けをポップな色彩や流れるような撮影で描き出すジュネ・ワールドが味わえる。
本作はジュネ初のデジタル3D映画。前作『ミックマック』(09)の頃から3Dに興味を持っていただけに、飛び出す絵本を思わせる“いかにも”な飛び技から奥行きある雄大な自然描写まで、立体を生かした映像が次から次に登場する。2Dでも楽しめるのはもちろんだが、ジュネ好きには断然3D版をオススメしたい。
ところで本作の原作はライフ・ラーセンの「T・S・スピヴェット君傑作集」。実はジュネの前にもハリウッドで映画化の動きがあり、その際にラーセンが希望していた監督がアルフォンソ・キュアロン、ティム・バートン、ギレルモ・デル・トロ、ミシェル・ゴンドリー、そしてジュネだった。スタジオ側はその案を却下したが、幸い企画は流れてしまい今回フランス・カナダ合作で映画化されたというわけ。望んでいたジュネが監督しただけに、ラーセンはエキストラで撮影に参加するなど終始ご機嫌だったという。
なお、「T・S・スピヴェット君傑作集」は大胆なレイアウトを取り入れた映画に負けず劣らずトリッキーな作りの本なので、ぜひ一度本屋さんで手にとってみてほしい。
映画『天才スピヴェット』公式サイト
http://spivet.gaga.ne.jp/
Text by スチームパンク東方研究所
アメリカ・ポートランドに本拠地を構え、コンスタントに長編映画を製作している人形アニメーション制作会社ライカ。その最新作『The Boxtrolls』が9月28日より全米で公開中だ。
チーズブリッジ・シティの地下には、子どもをさらう恐ろしい怪物(と噂される本当は気のいい妖精)ボックストロルたちの町が広がっていた。彼らに育てられた孤児の少年エッグスは、勝ち気な少女ウィニーと共にボックストロル一掃を企むアーチボルト・スナッチャーに戦いを挑む…という物語。
『コララインとボタンの魔女 3D』(09)、『パラノーマン ブライス・ホローの謎』(12)に続く今作も、ちょっぴりグロくてかわいいダークな冒険ファンタジー。トレーラーを観る限り、相変わらず映像のクオリティは高そうだ。
監督は『パラノーマン』のストーリーボードを担当したグラハム・アナベルと、CGアニメ『オープン・シーズン』(06)の共同監督アンソニー・スタッチ。キャラクターデザイナーは『パラノーマン』のハイディ・スミス、前2作のチーフアニメーターでライカの親分、トラヴィス・ナイトは今作でもプロデューサー兼アニメーターとして活躍してる。
主人公のエッグスを大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(13〜)で注目のアイザック・ヘンプステッド・ライト、ウィニーをエル・ファニング、悪漢アーチボルトをベン・キングズレーと、アメリカアニメのお約束だがボイスキャストは超豪華だ。
オープニングの週末は全米3位でスタートし、翌週末も4位をキープと順調な滑り出し。何とか日本でも公開してほしい!
映画『The Boxtrolls』公式サイト
http://www.theboxtrolls.com
ライカ
http://www.laika.com
Text by 神武団四郎
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